2011年10月アーカイブ

カウンセリングについて

第1回目は、心療内科医である長井が担当します。
日本人は、内向的で自分を隠すこと、自分のことを語らないことを美徳とする民族であるがゆえに、カウンセリングに向いてないというのが定説でしたが、それは過去の話で、最近は、いろいろなことを自分の胸の内におさめておくことに疲れ果ててしまっている日本人が増えています。それくらいストレスが多い世の中になってきているのです。
カウンセリングには、病気じゃないけど、社会や家庭での生活で心が傷ついて、日常生活に支障を来した方が来られます。もちろん心療内科医は薬を出すだけではありません。診察室で患者さん(?)の心の叫びに耳を傾け、自分のことのように共感します。

―調子はどうですか?
先生、昨夜は一睡もできませんでした。
―なにか嫌なことがありましたか?
職場で自分は正しいのに上司からひどく罵られ、ずっとそのことが気になり朝まで眠れなくて...。
―自分は間違ってないと反論しましたか?
いいえ、言えませんでした。
―じゃあ、聞き流しましたか?
いいえ、心が深く傷つきました。
―どうしたらよかったと思いましたか?
思ったことをきちんと言えばよかったと後悔しています。
気づきましたか?私は患者さんに一言もアドバイスをしていません。質問に対し質問で答えています。
「私ならこうするよ!とか、こうしなさい。」...というのは、本当のカウンセリングではありません。人生相談とカウンセリング、の大きな違いは、前者が自分の経験をもとに成り立つのに対し、カウンセラーは傷ついた人の心では正常な判断ができないので自分の健全な心を貸してあげて、一緒に問題を解決するという立場に立っています。だから、質問によって自分で考えてもらい、自分で気づいてもらうように誘導するのです。
私は何のために生まれてきたんでしょうか?先生。
―どうしてそう思うようになったんですか?
3日前に些細なことで母親と喧嘩になって「あんたなんか産まなければよかった。」とお母さんに言われて...私は、小さい時から親からの愛情を感じたことがないんです。
―今、お母さんから愛情をうけたいですか?
今までなかった分、償ってほしい。
―でも、あなたには2人の小さい子供がいるでしょう。お子さんに愛情を注いでいますか?
―そんなこと、あまり考えたことがなかったです。
お子さんは母親であるあなたをどう思っているでしょうね?今日から、しっかりと考えてくださいよ。
問題点を整理して、クライアントさんに考えてもらう...解決するのは自分自身。もし、カウンセラーのアドバイスに従いうまくいかなかったらクライアントは遺恨を残すでしょう。
―どうしました?元気なさそうですねえ。
人が自分をどう思っているか、いつも気になって、心が休まらないんです。
自分がいない、まわりがいて自分がいるみたいな変な緊張感が続いているんです。家に帰ると緊張の糸が切れて涙が出てきます。
―○○さん、目を閉じてみて下さい。耳も塞いでください。
こうですか?(目を閉じて耳を塞ぐ)
―何も見えない、何も聞こえなくなったでしょう!
世界はあなた中心に動いているんですよ。人目が気になったら3秒間、目を閉じて下さい。目を開けるとその人はもういないかもしれませんよ。

時には、こんなアドバイスもしますが、それはクライアントさんと十分に信頼関係が構築された後のことです。
カウンセラーは言葉いう名の薬でクライアントさんの傷ついた心を癒していきます。時には力強い言葉で、そして時には優しい言葉で...。

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